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令和元年師走19日 今日もクルクル通信479号
本ブログは、(株)SURGING中田雅之のブログです。
今日もクルクルうねって、胸にぐっとクル気づきを書いていきます。
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今日は待ちに待った、キングダム最新刊56巻電子版の発売日。ということでアサイチから読みました。
紙版の最新刊が出てから1ヶ月。キングダムが話題になりそうなときは、「電子版派なので、1ヶ月遅れです」と、無駄なディフェンスし続ける日々から解放されました。
ちょいちょい、携帯のグーグル検索のトップページに、【ネタバレ注意!キングダム第600話】みたいなアドが画像付きで出てくるのですが、何なんでしょうか?
触れる度に、見ない努力を強いられるので、全力でやめて頂きたい!と心から思っております。
さて、毎度毎度思うのですが、「なぜ、紙版の発売日から、電子版は1ヶ月後ろ倒しにされるのでしょうか?」
顧客ファーストであれば、同時に出してほしいと思ってしまいます。
もちろん、リアルな書店や、出版に関わる取次店、印刷会社などなど、本にまつわる、作り手側の事情が大きな理由になっていることと、推察はします。
例えば、「できるだけ在庫をなくしたい」なども、大きな事情の一つなんだと思います。
でも、私のような電子版派のユーザーの利益を明らかに削っています。
ちょっと調べてみましたが、2019年上期は、紙書籍売り上げは、5%減少。一方で電子版市場、特に漫画は30%増加しています。
電子版派のユーザーが増えているってことですよね。
でも、仮に、紙版と電子版を同時に発売したからといって、
電子版が紙版の売り上げを食ってしまうのでしょうか?
どの程度のカニバリが生まれるのでしょうか?
私個人で言えば、完全に電子版と紙版を使い分けています。
電子版:漫画、小説、新書、エッセイなど
紙版:仕事関連(ビジネス本系)。
と言った感じです。
前者は、本として残しておかなくても、ストーリーを楽しむことで十分。むしろ、大量に何冊も携帯したい。
物理的に本としてのスペースを確保するコストの方が、本を持っておくことの価値よりも、大きい。
と、判断している。
一方で、仕事用の本は、その逆で、そのスペース代よりも、本を持っておく価値の方が大きい
と、判断している。
という感じです。
例えば、本そのものの手触り感による、記憶の定着しやすさ。振り返りやすさ、メモのしやすさ。プレゼント出来る。本棚の背表紙を見ることによって、自分の思考の広がりが分かる。着想のきっかけになるなど。
といったところでしょうか。
ですから、私にとっては、電子版と紙版は十分に共存出来ていて、どちらの良さも享受できていることになります。
こういった使い分けを明確にしている人は、どれぐらいいるかわかりませんが、
こういった人は、電子版が紙版より遅いからといって、紙版に手を出すことはない。
電子版が紙版を食うことはない。
カニバリが起こらないのではないか?
と思うんですよね。
「だったら、同時に出してよ」
って。
一方で、
「本で持っておくほど、単行本を欲しいわけではない。でも、すぐに読みたい。電子版まで待てない。買った友人に貸してもらおうっと」
もしかしたら、こんなユーザーもいるかもしれませんよね。特に学生だと。
この仮説に、どこまで信憑性があるのか?は分かりませんが…
ユーザーに選択肢を提示し、どっちがいいのか選んでよ?
ユーザー利益を重視して、そんなトライをやってみたら、新しい発見があることもあるのではないでしょうか。
「スペースを確保する」コストっていうのは、土地が有限である故に、どんどん高くなってるように思うんです。
ちょうど、来週のクリスマスに、テレビを廃棄することになっています。
これもテレビを置いておくスペースよりも、本を置いておくスペースを選んだ
のが理由なのですが、とにかくスペースが足りないってことが結構ありそうです。
もちろん、金銭解決できれば良いのですが…
例えば、お墓もそうですよね。
一般的に家の墓に入れる人は、長男のみ。次男は、別の墓を探す運命になります。
しかし、墓のスペースが減っており、その値段が上がっている。
そういった、墓のスペース問題を受けて、永代供養のようなビジネスが生まれていますよね。
でも、リアルな墓が欲しい人は、多少お金がかかったとしても、墓を選ぶのではないか?
ユーザーの嗜好によって、どちらのサービスも共存できるのではないか。
そんなことを思うのです。
これがどこまで信憑性のあるのか?分かりませんが…
ちょっと脱線しましたが、
既存事業をやっている会社ほど、それに囚われるゆえに、新領域の着手が遅くなる。着手が出来ない。その結果、新参者に一気にやられることがある。
クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」で語られていることです。これに倣えば、
本来優先すべき、お客様の利益よりも、自分たちの既存利益や事情を優先していると、どこかで、大きなしっぺ返しがあるかもしれないですよね。
漫画は紙も電子の権利も出版社が有しているので、新参者がそもそも現れにくいと思いますので、当てはまらないかもですが。
そんなことを考えていると、
古代ギリシアの名医ヒポクラテスの
「知りながら害をなすな」
そんな言葉を思い出します。
目先の自分の利益ではなく、お客様ファーストで。
10年、20年あるいは30年。長期的な視点で、物事を考えていくのです。
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【今日のうねり】
あくまでビジネスはお客様ファーストで設計すべきだ。
自分の利益や事情を優先すると、どこかで大きなしっぺ返しを食らうことががあるかもしれない。
イノベーションのジレンマの変形。
「知りながら害をなすな」を忘れることなく、長期的な視点で行動していくのだ。