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令和2年文月17日 今日もクルクル通信687号
本ブログは、(株)SURGING中田雅之のブログです。
今日もクルクルうねって、胸にぐっとクル気づきを書いていきます。
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今月の「私の履歴書」は現代美術作家の杉本博司さん。
個人的には、今回の連載はいつにも増して面白いです。
以前、仕事でインタビューをさせて頂いたことがあるのですが、当時は、(今も?笑)どれほど凄い方なのか?ということを理解もしていませんでした。
「インタビューをした」と言っても現場に立ち会っていただけですが笑
その杉本さんの7月6日の「私の履歴書」(題名:西巣鴨小学校)に、こんなことが書いてありました。
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戦後のベビーブームの頂点に近く、1クラス58人、教室には多種多様な子供たちがいた。今とは違い、発達障害の子も体に障害を持つ子もみんな一緒だった。しかしいじめはなかった。あまりにも違いすぎて逆にいたわりの気持ちが湧いたのだ。
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彼の破天荒な生き方や、初めて作品を販売先がMOMAだったことなど、沢山印象的なエピソードが綴られていますが、なぜだか、この一文が心に残っています。
ちょうどこの話は、電車の中で読んでいたんですが、そのせいか、こんなことを思い出しました。
数年前、優先席の真ん前で携帯電話を使っている人がいました。
その人に対して、優先席に座っている男性の方が怒鳴りだしたんです。
「なんで携帯電話を使ってんだ!ここは優先席の前だぞ」
「俺の身体には心臓ペースメーカーが入っているんだ…」
みたいな感じで。
とにかく凄い剣幕で、私は何が何だかわからず、ビビるばかり。
「なんでこの人、こんなにブチ切れてんだ。こわっ」って思って、とにかく逃げるようにその車両から離れました。
でも、今思えば、どっちがありえないか?と言えば、
圧倒的に、携帯を使っていた人だし、理解もせずに逃げた、私の方です。
調べたところによると、確かに、携帯電話が発する電磁波は心臓ペースメーカーに影響を与える可能性があるそうです。
もし、自分の身体に、それが入っていたら、激高して当たり前ですよね?そりゃ、怒鳴るよ。
って話です。
なぜ、その記事を読み、こんなことを思い出したのか?というと、大きな理由の一つに、今回のコロナがあるんだと思います。
緊急事態宣言が出たばかりの4月あたりに、志村けんさんが亡くなり、岡江久美子さんが亡くなり、毎日、感染した数が増えていくといったニュースに触れていく中で、
「一体全体このままどうなっていくのか?」
「これ、かなりやばいかも、かかったら「死ぬ」かも?」なんて、勝手に、リアルに感じたからだと思うのです。
ここまで真剣に、「死」について考えたことは、初めてだったかもしれません。
自分が感染したわけでも、自分の身の回りに感染者が出た訳でもないのですが。
今回をきっかけに、自分が感染するorしないと同じくらい、
「自分が自覚がないだけで保菌しているかも。それを人に渡してはならない」
と、かなり強く思うようにもなりました。
リアルに感じたからこそ、コロナ以前と比べたら、「死」に関わりうることに対する、理解や想像力が高まったと思うのです。
杉本さんが書いている、「いたわりの気持ち」が持てるようになったと言ったら大げさですが。
人間は自分の目で見て、触れて感じたこと。経験したことを通して一番学ぶ生き物です。
そこでの経験が、想像力や相手を思う力を養ってくれます。
もちろん、読書を通して、疑似体験も出来ますが、リアルな経験には及びません。
だからこそ、どんなことでも貪欲にチャレンジすることが大切なんですよね。
チャレンジをすれば、その分だけ失敗もします。
でも、失敗の分だけ、痛みや、その気持ちが分かるようにもなるのですから、長期的に見たらプラスでしかないと思います。
やったらやった分だけ、同じことを経験した人の気持ちを想像できるようになりますからね。
怪我をたくさんすれば、怪我の痛みがわかります。
失恋をすれば、その時の心も痛みも分かります。
受験や就職活動でも第一志望に落ちれば、その時の悔しさも痛みも分かります。
新しいプロジェクトを立ち上げて、一切成果が出せなければ、その痛みもわかります。
その分だけ、創造力が養われ、他者理解が出来るようになるのです。
そういった、経験が沢山ある人は、豊かなコミュニケーションが取れることが多いように感じます。
なぜなら、コミュニケーション力の源は、相手の個別具体の文脈や論理の理解ですから。
やっぱり、いつも何かにチャレンジし、失敗をすることが大切なのです。
その数が多ければ多いほど、「いたわりの気持ち」が養わうことが出来ると思うのです。
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【今日のうねり】
人間は、自ら観て聴いて触れたこと。経験から最も学ぶ生き物だ。
中でも、人の気持ちはそれを通してが一番身に染みるのだ。
だからこそ、何でもチャレンジして&失敗をすればよいのだ。その分だけ、人の気持ちが分かるようになるのですから。いたわりの気持ちを持てるようになるのだ。