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令和2年9月14日 今日もクルクル通信757号
本ブログは、(株)SURGING中田雅之のブログです。
今日もクルクルうねって、胸にぐっとクル気づきを書いていきます。
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日本で初めて「引っ越し業」を始めた会社が、
アート引越しセンター
だって、ご存じでしょうか?
創業者である、寺田千代乃さん。
今月の<私の履歴書>を読むまで、それを知りませんでした。
創業以来の生々しい話が書かれていて、楽しく読ませてもらっています。
どうも私は、「何もないところから、泥臭く何かを立ち上げる」という話が好きみたいです。
今から50年前の創業当時、日本では引っ越し専門業はなく、運送業者が片手間に引っ越しをやる。
そんな時代だったそうです。
寺田さんも、元々は、「寺田運輸」という運送業を営んでいました。
とある雨の週末、引越し作業中に家財が濡れている光景を見て、
「家財が濡れたら、嫌だろうな。うちのトラックだったら家財を濡らさずに運ぶことができるな。
週末は配送の仕事もないから、引越しをやってみようか」
そんな感じで、ビジネスをスタートしたそうです。
それが軌道に乗り出し、引っ越し専業の会社を創設。
その時に、命名したのが、
アート引越センター
だったそうです。
なぜ「アート」なのか?
その理由は、
電話帳の最初に来るから。
「アー」から始まる名前でちょうどよかったのが、「アート」だったから。ただそれだけだそうです。
その引っ越し技術が「アート」(芸術)のようだ。
とかは一切ないそうです笑
極めて、実践的ですよね。
電話帳では、カタカナ。音引きの「-」が先に来ることを調べた上での命名だったそうです。
子供の頃に見たTVCM。特にラストカットの
「ア~ト 引越し センターへ 0123」
って声(確か、女性の声&子供)は今でも覚えています。
振り返ってみると、「引っ越しとアート?0123って何?」って考えたこともありませんでした。
しかし、今でもはっきりと覚えているんですよね。
理由(ロジック)よりも分かりやすさの方が大切
ってことなのかもしれません。
同様に0123も、分かりやすいですよね。
これを採択した理由は、
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尻上がりの番号は縁起が良く、ゼロから始める自分たちにぴったりと思い、0123にすることにした。
当時の電話はダイヤル式で、1、2、3は戻る時間も短かった。
(抜粋)
===
だそうです。
確かに、ダイヤル式だと、0123は早いっすもんね。
今では、500以上の「0123」を所有しているそうです。
さて、今までの、寺田さんの<私の履歴書>を読んでいて思うことは、
商売は気遣い
ってことです。
創業のきっかけも、「家財が濡れたら嫌だろうな」という気遣いから。
アートというネーミングも、ユーザーに気づいてもらいやすくするため。
0123もダイヤルしやすさ(覚えやすさ)。
これらも気遣いですよね。
他にも、
アート引越センターの当時のユニフォームは、つなぎ。その理由は、引っ越しの上げ下げで、ズボンから服がはみ出ていると「だらしがない」からだったそうです。
引っ越し先では、新しい靴下の履き替える。
これも、「新築の畳の上を汚い靴下で歩かれた嫌」って社長自身が思ったから。
「家財からゴキブリが出てきたら嫌だろうから」って、移動中のトラックの中で「殺虫するサービス」も導入。
これも、社長自身の引っ越し経験から生まれたものらしいです。
どれもこれも、お客様目線。すべてが気遣い以外何者でもないですよね。
その中でも、私が一番インパクトを受けたものは、
お伺いしたお客様の自宅に、
新硬貨で20円、小袋に入れてそっと置いておいた。
というものです。
この20円は二回分の電話代だそうです。これは、
引っ越し見積もり依頼でかけていただいた電話代と自分たちかけた電話代
だそうです。
当時は、携帯電話がなく、訪問先の電話をお借りして、自社に予約の電話をしていた時代。
「電話代です」なんて言っても、誰も受け取ってくれないし、硬貨をそのまま置いても失礼になるから、袋に入れてそっと置いておいたそうです。
===
当時、昼間見積もりに立ち会うのは主婦の方で、「主人が帰ってきてから決めます」と言われることが多かった。
社員が置いた袋を見つけた奥様と、「こんなの置いてあったわ」と言われたご主人の双方に好感を持たれたようだ。口コミで次第に話題になり、新聞にも取り上げられた。
(抜粋)
===
これって、本当に素晴らしいですよね。
お客様が、ご検討下さって電話をしてくれたから。
お客様の電話をお借りしているから。
お支払いして当然。という気持ちの表れなのに、それが結果として、口コミになる。
実際、一部上場企業の社長からも「とても参考になった」という手紙を頂戴したこともあったらしいのですが、
この反響の多さに社長自身が一番驚いた。
そうです。
ほんのわずかな気遣いが、商売を作る
ってことを改めて教えて頂きました。
全ての商売は、気遣い
なのです。
その昔、
「広告は、サービス業だ。サービス業ってのは気働きだ」
そんなことを口うるさく電通時代の先輩に言われたことを思い出します。
頭は常に全回転、八方気を配って、 一分の隙もあってはならぬ、 サービスとはその様なものだ。
って電通鬼十則にもありますしね。
気遣いとは、想像力とも言えます。
どうしたら、お客様が喜んでくれるのか?
それを想像することだからです。
幼いころに親に口うるさく言われたこと。
例えば、洗面所のコップを使ったら、もう一回ゆすいで戻しておく。
とか
洗面台が汚れたらタオルで拭いておく。
とか
トイレで小便をこぼしたら、拭いておく。
とか。
これらは全て、その後の人が気持ちよく使うことが出来るようにという想像力によるものですが、
これも、気遣いですね、今思えば。
一つ一つを見たら、大したことではありません。
「たったそれだけのこと」です。
実は、商売はこのような「たったそれだけのことの積み上げ」ではないか?
って今回の<私の履歴書>を読んで思うのです。
でも、「たったそれだけ」ができないんですよね。
今回のブログのために、再び記事を読み返したのですが、第一回目の寺田さんの<私の履歴書>に、
「客目線で育てた事業」
と、書かれていました。
まさに、そのものですよね。
当たり前を疎かにしない。
たったそれだけを怠らない。
気遣いができる人間になります。
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【今日のうねり】
商売は、気遣いで決まるのだ。
その気遣いは、多くの場合、「たったそれだけ?」と思うことばかりなのだ。
でも、それだけができない人ばかりなのだ。
気遣いができる人間になる。
そして、お客様目線で事業を育てるのだ。