トイレビジネスの知らない世界。

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令和3年6月1日  今日もクルクル通信1005号
本ブログは、(株)SURGING中田雅之のブログです。
今日もクルクルうねって、胸にぐっとクル気づきを書いていきます。
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「お兄ちゃんさ、何の仕事してんの?」

「自分で会社やっています」

「あっ、そうなの?、俺もそうなんだよ」

「えっ、そうなんですか?すみません、てっきり、区の清掃員の方だと思っていました」

「いや、違うんだよ、俺のとこで受託してんだよ。掃除をさ。区とか都から。

お兄ちゃん、どう?仕事は安定している?」

「そうですね、おかげさまで。お客様と良い関係さえ築けていればですが」

「そうか、でもね、おじさんの仕事ってお客様っていないんだよね。トイレじゃん。

でもね、これはね、めっちゃ良い仕事だと思ってんだよ、俺は。

みんなさー、「トイレの掃除なんて…」って思っているんだろうけどさ。

だいたいねー、清掃員1人当たりに1500万円くらいの予算確保されてんの」

「えっ、そんなにあるんですか?」

「あっ、全部コミコミだよ。しかもさ、公衆便所の掃除予算って削られないんだよね。

後は、道路の掃除。あれも削られない。

あれの方がもっといいんだけどさ、あっちはちょっと大変」

「あの清掃車が高いからですか?」

「そう、あの深夜に良く見る、車の底に巨大なブラシが付いている、やつね。あれ、1台5,000万円するんだよね。だから普通には手が出せない。

どちらの掃除も、1回受託させてもらうのはめちゃ大変なんだけど、1度受託できると、まぁ基本なくならないね。

俺、この仕事40年やってんだよ。

おじさんね、今71歳」

「どうやったら、受託できるようになるんですか?」

「そうだな、ほら、ボランティアで公園とか道路とかのゴミ拾っている人いるでしょ?ああいうことをずっとやっていると、声がかかることがあるの。

これまで受託していた人の引退とかで、ポストに空きが出る時。

お兄ちゃん、全然興味がないかもしんないけど、今、渋谷区で1億以上の予算がついて、トイレを増やしてんだよ。

で、その清掃の話が俺のところにも来てさ。今、うちのところで人を募集してんの」

「そうなんですね。おじさんのところは、従業員はどれぐらいいるんですか?」

「30人くらいかなー。委託を含めるともっといるけど。全部はうちでは受けきれないから、外部にも委託してやってもらっているよ。

この仕事はね、良い仕事だと思っているけど、一つだけ大変なことがあるんだよね。

穴が開けられないんだ。毎日掃除しなきゃいけないの。

もちろんね、誰も、毎日掃除をしているのか?なんてチェックをしていないよ。

でも、やっていないことが判明したら、信用がなくなっちゃうからね。

そうしたら、この仕事はなくなっちゃう、信用がある人にしか任されない仕事だから。

だからね、大事なことは70点でもいいから毎日必ずやること。

めちゃめちゃきれいにすることよりも、これの方がよっぽど大事。

1日ね、午前と午後で2回やってるしさ。1回は70点でいいのよ。

となると、健康じゃなきゃいけない。

俺ね、仕事に出る前に、シコ立ちして正拳突きやって、スクワットやってんの。

健康でさえあり続ければ、ずっとできる仕事だし、朝は6時からで、夕方4時には終わっちゃう。

言っても、そんな重労働じゃないから、俺は本当に良い仕事だと思っているよ。

一人で気楽だし。

おぉぉ、話すぎちゃった。次んとこ行かなきゃいけないから、じゃあ」

と言って、公衆トイレの清掃員のおじさんは、愛車のヤリスに乗って行きました。

以前はアクアに乗っていたらしいですが、これの方がずっと良いそうです。

改めて見てみると、確かにその愛車には、東京都とか、〇〇区なんて一切書いてなく、「清掃中」だけシールが貼ってあるだけでした。

 

そのおじさんを見送りながら、彼の商売は結構「鉄壁」かもしれないなって思いました。

まずは事業の安定性を見てみます。

自治体に依存しているモデルなので、そこが最大のリスクですが、国が公衆トイレの清掃を放棄しない限りは、毎年必ず予算は付きそうです。

少なくとも、過去40年間の実績がありますし、今後はどうなるのか?は分からないと言えば分かりませんが、予算がなくなることは考えにくそうです。公衆トイレは不可欠ですし。

実際、公衆トイレってめちゃ進化しています。

今では男性用の小便器は、一人用が基本になっています。上部から水がチョロチョロ出ている、銀色でところどころ黄ばんだ壁のような複数人用小便器なんてほとんど見かけなくなりましたよね。

個室も和式はあんまり見なくなりましたし、洋式にはウォシュレットが付いていることもあります。

これって、公衆トイレの予算が付いてるって証とも言えそうです。

国に依存しているという観点では怪しいものも、仕事が受託さえできれば安定しそうです。

次に、安定して、毎年受託はできるのか?を考えてみます。

競合は?参入障壁は?というと、◎です。

そもそも信用、信頼されている人にしか受託ができない=参入障壁もめちゃ高い。

受注が認められている会社の数が限られているっぽいので、競合も少なそうです。(エリアとか掃除場所とかで、持ち場が決まってそう。争いもなさそう。

なので、事業の安定性は〇となりそうです。

撤退障壁の低さは?という観点でも、〇です。

辞めたければいつでも辞められそうですから、めちゃ低い。

拡張性は?というと、△です。

あくまで、自治体次第ですし、予算の増額申請が難しそうです。

完全に肉体労働ですので、仕事量に上限もありますから。

資金繰りも大丈夫そうです。トイレ掃除器具に何百万もかからないですからね。黒字倒産のリスクもなさそうです。

マーケティングコストもかかりません。

こんな感じでざっくり見ていくと、大勝ちはできないけど、大負けもない。

っていうか、負ける確率が極めて少なそうなビジネスって言えそうです。

鉄壁!!鉄壁!!鉄壁!!ウイルスセキュリティソフト。ソースネクスト。

って、CMが思い出されちゃいます。古すぎるか笑

 

おじさんは、「お客様なんていない。トイレだもん。」なんて言っていましたが、

実際は、自治体がお客様で、そこの信用信頼がめちゃあるから、任せてもらっているんですよね。

自治体に対する信用信頼が全くない私には、とても任せてもらえる仕事はでありませんが笑

どんな商売においても、信用信頼が一番大事なのは間違いなさそうですね、やっぱり。

前回のラジオの話と言い、このお喋り好きなおじさんは話が面白いので、積極的に会話をしていきたいと思います。

そして、「これは!」と思う話が聞けたら、またここでシェア頂きますね笑
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【今日のうねり】
どんな商売も、信用信頼がなければ始まらないのだ。
どんな商売であれば、死なないのか?生き延びる可能性があるのか?はチェック項目がある。
それを十分にチェックしたうえで、始めるのが良いだろう。
ビジネスモデルの構築力、ビジネスセンスは、普段から、見聞きするビジネスに対して、その項目チェックを行うことによって、トレーニングすることができるのだ。

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