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令和3年7月25日 今日もクルクル通信1059号
本ブログは、(株)SURGING中田雅之のブログです。
今日もクルクルうねって、胸にぐっとクル気づきを書いていきます。
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吉村昭にハマりつつあります。
存在を知ったきっかけはもちろん、沢木耕太郎。
彼のエッセイの中に、吉村昭の作品がしばしば出てきたからです。
中でも絶賛していたのは、『戦艦武蔵』と、『羆』。特に、前者は日本のノンフィクション作品の金字塔。くらいのことが書いてあったので、かなり気になっていました。
先日、祖母の呉服屋に戻った時に、二階にある叔父の本棚を漁っていました。
「あるわけないよな」って思っていると、あったんです。本棚の一番下に。
吉村昭の作品が10冊ぐらいまとまって置いてありました。
噂の『戦艦武蔵』もあったので、お店にいる、叔父に「これ、借ります」と一言言うと、
「それもいいんだが、脱獄4回の脱獄犯の話があるんだよ。それも面白いから持って帰れ!」
と言われました。
一緒に本棚の前まで行ってくれ、「あー、これ、『破獄』」と手渡しをしてくれました。
それにしても、この叔父の本棚は、読みたい本がたくさんあります。
海外作品で言えば、トーマス・マンにサリンジャー。レイモンド・チャンドラー(村上春樹訳版)。
日本作品で言えば、村上春樹、藤沢周平、池波正太郎、司馬遼太郎に、宮城谷昌光あたりもだいたい揃っています。
思わず叔父に、「いつか引退したら、ここの本棚にあるのを読むだけで、2年ぐらいは過ごせそうだな」って言ってしまいました。
引退ってなんだよって思いながら笑
ちなみに、三階にある、祖父の本棚には、海音寺潮五郎の全集っぽいのとか、山岡荘八の『徳川家康』とかクソ分厚い、読み応え満点そうな作品もあったと記憶しているので、この家で5年くらいは過ごせるかもしれません笑
実際、『戦艦武蔵』は読み応え十分でした。既に吉村昭のノンストップな予感がしていて、危険なにおいがプンプンしています。
そんな吉村昭へのアンテナが立っていた私は、一昨日の金曜日。2021年7月23日、オリンピックの開会式があったその日に、古本屋で見つけたんですよね。
「さすがに今日はめでたい日だから」なんてよくわからない理由をつけて、ちょっと早めに帰宅をしました。
19時を過ぎると、ほぼ全てのお店がクローズしている、神保町のすずらん通りも、17時前には、全てのお店が開いていました。
なかなかこんな時間にこの通りを通ることがないので、古本屋を物色していると、
開いているのを初めて知ったと言いますか、存在を初めて知った、古本屋がありました。
その店頭におかれた本棚に、吉村昭があったんです。
彼のデビュー作であり、太宰治賞を受賞した、『星への旅』と、難破船を題材にした、『破船』の2冊が。
状態もそこそこよく、しかも各200円。迷うことなく買いました。
よくよくその本棚を見てみると、原田マハの『たゆたえども沈まず』があったり、名著とも言われる『シナリオプランニング』があったりと、なかなか気になる書籍が配架されており、また来るお店にノミネートしておきました。(『シナリオプランニング』が持っていますが)
お会計をしようと、店内に入っていくと、真っ白な店内に所狭しと、山のように本が積まれていました。
入口すぐ右手に、優に私の身長(165㎝)を超えるほどの本が山積みされ、僅かに釣銭トレイが顔を出しているだけの、会計テーブルを発見しました。
ところが、そこを覗き込んでも、店員さんがいません。
どこにいるんだろうと、振り返った時に、衝撃が走りました。
壁一面の本棚に配架されていたのが、全てアダルトビデオだったんです。
ギョギョギョ
改めて見直すと、会計テーブルの上に置かれていた本も全てビニ本。
えっ、ここ、エロ本屋だったのか?
でもなぜ、店頭に、吉村昭、原田マハがあるんだ??
全く理解ができませんでした笑
店内奥の方に進むと、小さなテーブルがあり、二人の店員さんがいました。
そこは上から、「ここは会計ではありません」と、緑色の油性マジックで雑に書かれた、ダンボールの切れ端がぶら下げられていました。
1人はメガネをかけた、学生風のアルバイト。
その手前に、クルクルの髪型にメガネ、無精ひげ。だらっとしたシャツにジーンズを着た店主とおぼしきおじさんがいました。
「すいません、お会計お願いしたいんですけど…」
と言うと、
「はい。ちょっと見せて。」
と言いながら、おじさんが近づいてきました。
値段を確認すると、彼は
「400円ね。このままでいい?」
と言いました。
「はい、構いません。」
そう答えながら、1000円札を渡すとジーンズのポケットから、折り畳みのガラケーぐらいの小銭入れを出して、そこから600円のお釣りをくれました。
一人通るのがやっとな狭い通路で、会計が終わりました。
「レシートもらえますか?」
というと、おじさんは、会計スペースに行って、レシートを出してきてくれました。
そのまま帰ろうと思ったんですが、
こんなに堂々と?アダルト書店に入ることもないので、店内を物色させて頂きました。
確かに、エロ本やAVも十分すぎるほどありましたが、それだけではなく、
多岐川裕美、松本伊代、アグネス・ラム、榊原郁恵など、往年のアイドルのグラビア写真などが、所狭しと店内に貼られていました。「両面印刷です」と手書きのメモが添えられて。均すと2000円ぐらいの値札がつけられていました。
絶版のグラビア雑誌のバックナンバーも多数取り揃えられているようでした。
よくよく見ると、AVもDVDだけではなく、VHSが多数ありました。
この時代に、「VHSでAV見る人いるのかよ!?」って一瞬思ったんですが、すぐに思い直しました。
この世界にも、ビンテージものが好きな人がいるんだろうなって。
VHSでしか存在していない作品があって、「それが欲しい!」って人がいるんでしょうから。
でなければ、こんな一等地で、この商売が成り立つはずがありません。
私からすりゃ、「こんなの買う人がいるのか?」って思うものでも、需要がある。「それが欲しい!!」という人がいるのが世の中なんですよね。
自分のモノサシだけで、何事も判断してはならないのです。
レシートに書かれていた、「荒魂書店」を実際にググってみると、「荒魂」と打ち込んだだけで、「荒魂書店」が予測で出てきました。
それは検索数の多さ=認知があることの表れですよね。
「アイドル・プレミアムグッズをお探しなら当店にお任せ下さい」
とトップに書かれたHPを見ると、本店と新店の二店舗もあることが判明しました。
もう、そのスジじゃ、有名店であることは間違いないですね。
私が知らないだけなんです。
まあ、改めて考えてみれば、アイドルもの、アダルトものも一大産業なのですから、この古本の町、神保町で専門店があってしかるべきです。
パンフレットや雑誌のバックナンバーを集めている、映画専門書店もあれば、洋書の専門書や、推理小説専門店も。あるいは、日本の古文書専門店だってあるんですから。
とは言いながら、店頭の本棚に、全くそれと関係ない、吉村昭や原田マハがあったことは、やっぱり分かりませんが笑
何事も、自分の価値観だけ判断しないこと。
多種多様な人がいるということ。
2020東京オリンピックの記念すべき開会式の日でしたから、
Know Differences, Show Differences. ちがいを知り、ちがいを示す。
という、そのアクションワードとともに、それが脳裏に刻まれました。
それにしても、
荒魂書店のレシート。経費処理できるのかしら?
一瞬、怯んだことはここだけの話にしておきます笑
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【今日のうねり】
目的意識が高まると、四六時中、アンテナ感度が高くなり、それが張りっぱなしになるもの。
世界は広い。間違っても自分のモノサシだけで、決めつけることはやってはならない。
Know Differences, Show Differences. ちがいを知り、ちがいを示す。
が大事なのだ。