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令和3年8月3日 今日もクルクル通信1068号
本ブログは、(株)SURGING中田雅之のブログです。
今日もクルクルうねって、胸にぐっとクル気づきを書いていきます。
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ある新商品が発売になって、2人の担当営業がいたとしましょう。
その二人は、全く同じタイミングでその商品担当となり、スタート時点では、商品知識もほぼ全く同じだったとします。
なので、初めてその二人のセールストークを聞いた時に、差はほぼありませんでした。
にもかかわらず、1ヶ月後に再び2人のセールストークを聞くと、そこには、びっくりするほどの差がありました。
その差って、一体どこから生まれる可能性があるのでしょうか?
おそらく、それは大きく二つの理由があるように思うのです。
一つは、場数
もう一つは、より良いものにしようとする意欲
です。
前者は、文字通り、何回プレゼンを行ったのか?という単純なプレゼン回数。
後者は、プレゼンを行う度に、相手に響いたところはどこだったのか? もうちょっと聞きやすく思ってもらうにはどうしたら良いのか?
といった振り返りをどれだけやったのか。ということです。
言い方を変えれば、量の面でも質の面でも、どれだけトライ&エラーを繰り返したのか?ということの差から来るのだと思うのです。
もちろん、回数を増やすだけ=量をこなすだけでも、プレゼンが「こなれる」ということはあるかもしれませんが、あくまで「こなれる」程度のこと。
意識的に、「どうしたらもっとよく伝わるのか?」を考え続けなければ、成約に大きな影響を及ぼすような、変化を生むことはできないでしょう。
やや大きな言い回しになるかもしれませんが、
セールストークという話芸を磨いてきたのかどうか?
が大きな差を生むように思うのです。
話は一気に変わりますが、私は落語好きです。
その昔、「面白い」というネットで話題になっている若手噺家がいて、彼を目当てに、彼が「仲入り前」を務める、寄席に行ったことがありました。
「仲入り前」とは、休憩直前に演じることであり、トリの次に重要だと言われています。
あれだけ評判が良いのだから、きっと面白いに違いない!、期待に胸を膨らませながら、ネタを聞いてみたんですが…
これが、驚くほど、つまらなかったんです笑
それから1年以上経った後に、急遽代打で、彼がトリを務める寄席に鉢合わせたことがありました。
その事実を知った時、当時の記憶が蘇り、かなりテンションが落ちたのですが、その他の演者さんが良かったので、「ここまで来たんだから仕方なし。」ということで、入場することにしました。
実際に、トリとして、彼が高座に上がりました。
それまでに十分笑わせてもらったので、「もう元は取ったし、まいっか」くらいのノリで、ほとんど期待もせずに彼の話を聞くことにしたんです。
しかも、あろうことか、彼は、あのつまらなかったネタをかけたんです。
それに気づいた時は、「えっ、まじかよ、勘弁してくれよ。」ってリアルに思いましたね。
で、でもです。
信じられないほど面白かったんです。
腹を抱えて大笑いをさせてもらいました。
同じネタとは思えないレベルで面白くて、「一体どうなってんだ、これ!」って、一人でツッコミを入れたことを今でも覚えています。
同じネタにもかからず、なぜ、このような違いが生まれたのか?
もしかしたら、彼は、
寄席という場を使って、もっと面白くするにはどうしたら良いのか?
自分なりのそのネタの完成形を模索していたのではないか?
なんて思うんです。
もちろん、高座に上がる以前にも、数えきれないほど稽古をしてきたはずです。
でも、お客さんにウケるかどうか?は、プロとは言えども、実際に客前でやんなきゃわからないのではないか。
どんなマクラを使うのか?
途中でどんなボケを入れるのか?
サゲ(オチ)はどうするのか?
などなど、無数のチューニングポイントがあって、それを寄席という舞台で、試行錯誤を繰り返し続けてきたのではないか。
大トリを務めるような、しかるべき舞台のために。
なんてことを思うのです。
これは勝手な私の想像に過ぎないので、合っているかどうかは分かりません。
でも、咄家であれ芸人であれ、卓越した話芸を持つ人であったとしても、最初から上手かったってことはないはずです。
舞台に立つ数と、そのための振り返り。
量と質の向上を追求することによって、自分なりの型を確立しているのではないか。
営業で言えば、成約率の高いセールストークを確立することができるのではないか。
圧巻のセールスパーソンを目指すのであれば、話芸を磨く。という意識は、欠かせないように思うのです。
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【今日のうねり】
セールストークの巧拙は、どれだけ場数を踏んだのか?とどれだけそれを改善してきたのか?
量と質を追求し続けるかどうか?によって決まるのだろう。
それは、あたかも、咄家があるネタにおける、自分なりのフォーマットを確立する過程に似ているのかもしれない。
プロの咄家とは言え、最初から上手いわけがなく、実際に客先の前に立つことによって、型を作り込んでいるはずなのだから。
圧巻のセールスパーソンを目指すのであれば、話芸を磨く。という意識は、欠かせないだろう。