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令和3年9月23日 今日もクルクル通信1131号
本ブログは、(株)SURGING中田雅之のブログです。
今日もクルクルうねって、胸にぐっとクル気づきを書いていきます。
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昨晩は久しぶりに夜更かしをしてしまいました。
睡眠時間の確保を何よりも優先しているのに、やってしまいました。
理由は、吉村昭の『漂流』が面白すぎたからです。
ラスト150ページからアンストッパブルになってしまったんです。
この作品の概要は以下の通りです。(アマゾンより抜粋)
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江戸・天明年間、シケに遭って黒潮に乗ってしまった男たちは、不気味な沈黙をたもつ絶海の火山島に漂着した。
水も湧かず、生活の手段とてない無人の島で、仲間の男たちは次次と倒れて行ったが、土佐の船乗り長平はただひとり生き残って、12年に及ぶ苦闘の末、ついに生還する。
その生存の秘密と、壮絶な生きざまを巨細に描いて圧倒的感動を呼ぶ、長編ドキュメンタリー小説。
この小説は江戸時代に、無人島に漂流してしまった、たった1人の男が生き延び、無事に国に帰還する
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ノンフィクションではないので、多分に著者の想像も含まれてるとは思いますが、
人間の生命力とは?創意工夫とは何か?
をまざまざと見せつけられる作品です。
以下、ネタバレになりますので、ご興味を持った方は、この場で撤収。大至急ご購入の上、読み始めてください笑
主人公の長平がたどりついた火山島は、今では、「鳥島」と呼ばれる、アホウドリの生息地として有名な島です。
水もなければ、植物も生えていない。岩石ばかりの生物も生息していない島でした。
そんな島でどうやって生き延びるのか。
飲み水はどうするのか?
食べ物はどうするのか?
彼のサバイバルはそんな基本から始まります。
海の水を飲むのも限界がある。塩分のない水を飲むには、雨水を飲むしかない。
でも、雨水をどうやって飲むのか?貯めるのか?
コップなんかない⇒アホウドリの卵を器代わりにし、雨水を貯める。
食べ物はどうするのか?
米なんてない⇒唯一生息しているのは、アホウドリ。これを食べるしかない。
アホウドリって渡り鳥ですよね?
でも、初年度はアホウドリが渡り鳥だということも気づかない。9月になって、彼らが、バタバタと群れをなして旅立っていくことを発見し、渡り鳥だと気付きます。
大慌てで、ワタリドリを木片で叩き殺し、干し肉として保存することにすることにします。
最初は仲間4人でこの島に辿り着くんですが、
一体どれくらいの物量があれば、アホウドリが帰ってくるまで生き長らえることができるのか?
というか、そもそも初年度は、もう帰ってこないんじゃないか、だとすれば、このまま餓死してしまうのではないか?という恐怖とも戦います。
渡り鳥の帰還を発見した時は、安堵するものの、次期に、自分を残して4人の仲間全員が病気で死んでしまいます。
その悲しみと、自分も同じようになってしまうのではないか?と恐怖と戦いながら、長平は、生き抜くために、彼らの死の原因は何か?を考えます。
それは、
日を浴びずに運動しなかったこと。アホウドリしか食べなかったこと。ではないか?
と仮説をたて、磯を歩き、崖に付着している貝や海藻、魚を食べるなど、魚介類も摂取するようになります。
魚を釣る為の釣り具が必要なので、それを自らの手で作ります。
こんな感じで、数年がかりで、彼はこの環境に適応していくのです。
数年後、2回にわたって、難破船が島に流れ着き、最終的には14名のパーティーとなって、この無人島生活が進んでいきます。
到着してから7年の月日が経った頃、
彼は、この島で生きていくことはできるだろう。でも、このままこの島で死んでしまっていいのだろうか。
と考えるようになり、
いや、俺はこの島を出たい。
では、どうすれば、抜け出すことができるのか?
舟を造るしかない。
という結論に達します。
そして、仲間に問うんです。
「舟が造れなければ、おれたちはこの島で朽ち果てる。それが恐ろしければ、舟を造る。この二つの道しかない。
いずれの道をとるか、それをきめたい。島で朽ち果てるか、それとも故国へ帰るか」
と。
この一言が、私にとってのこの物語最大のハイライトでした。
ぶっちゃけ、荒唐無稽にもほどがありますよ。水も木もない火山島ですよ?
そこで、舟を造るって、マジ?って話です。
この一言を読んでしまったがゆえに、寝不足になってしまったのです笑
物語はここから一気に動き出します。
舟を造るって言っても、どうやるの?
木材もなければ、釘もない。
どうやって、手に入れるの?
造るって、どこで作るの?
島で造ったとして、海にどうやって運ぶの?岩肌で船底が破損してしまって、航海できないよ?
航海できたとして、どこに向かうの?ここがどこかも分かっていないよ?
などなど。課題は山積みなのですが、それを一つ一つみんなの手で解決していくんですよね。
私も祈りながらページをめくり続けました。
このままいくと、今日は単なる読書感想文になってしまうんですが、私の興奮と備忘も兼ねて、ということでご容赦下さい笑
決意するから、問いが生まれるし、行動が生まれるんですよね。
気付かなかったことに気づくようにもなるし、見えなかったものが見えるようにもなるんです。
この小説でも、例えば、木材がない。どうするの?って、問いが生まれ、それを探す。
探すってどこを?
釘がないならどうすれば良いの?
作るしかないのか?でも、原材料ってどこにあるの?
みたいな感じで。
問い、行動するから創意工夫が生まれ、活路を見い出すことができるのです。
現代を生きていて、これほどまでの極限状態に直面することは恐らくないとは思います。というか、そう信じたい笑
本気になれば、何とかなる。
人間の底力を信じさせてくれる、エネルギーに満ち溢れた作品でした。
それにしても、吉村昭が面白すぎます。
昨日も前を通った古本屋で3冊ほど買ってしまいました笑
このブームはしばらく続いてしまいそうです。
昨日も古本屋で3冊ほど買ってしまいました笑
このブームはしばし終わりが見えません。
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【今日のうねり】
人間には際限ない創意工夫をする力がある。
それを引き出すには、決意が必要だ。
本気になるから、問いが生まれ、行動が生まれるのだ。
もし、問いも行動もないとしたら、本気になっていないということだ。
本気になれば、何とかなる。それはいつも時代も変わらないのだ。