進むことは容易だけど、退くのは難しい。

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令和3年10月17日  今日もクルクル通信1154号
本ブログは、(株)SURGING中田雅之のブログです。
今日もクルクルうねって、胸にぐっとクル気づきを書いていきます。
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新しいビジネスを始める時は

参入障壁が高いかどうか?

撤退障壁は低いかどうか?

「入りと出」のどちらも意識することも大切です。

とはいうものの、始めるときは、ついつい前者のことばかり考えてしまうのではないでしょうか?

始まる前から終わりのことを考えるなんて…って思って思うのが人間ですもんね。

新しいビジネスを始めるのだから、成功をさせたい。

と思うのが人ですから、

参入障壁が高いかどうか?

さらに言えば、代替困難かどうか?

もっと突っ込んで言えば、代替不可能かどうか?

どうすれば、それが実現できるのか?

ということを考え続けるものでしょう。

でも、これと同じくらいに大事なのが、

撤退障壁が低いかどうか?

つまり、辞めたいと思った時に、すぐにでも辞めることができるかどうか?

なんですよね。

数年単位で赤字を垂れ流している事業で、本来であれば、撤退したいのに、それができずにやり続けてしまっている。

その理由は、お客様事情だったり、事業パートナー事情だったり、自社の社内事情だったり、いくつかのパターンがあるかもしれないのですが、

いずれにしても、やめたいのに、やめることができないってのは、かなりのストレスとなります。

私自身のビジネスで言えば、そういった経験はありませんが、会社員時代はありましたし、今まで関わってきたお客様のこういった事例を見てきました。

そういったことに陥らないためにも、

それは、撤退障壁が低いのか?

ということは、忘れることなく頭に入れておきたいところです。

ビジネスは、「戦略」という言葉が使われるように、戦になぞられることがしばしばありますが、

戦の名人と名高い武田信玄は、戦う前から撤退ルートについても考えていたそうです。

北条氏を打ち破った、「三増峠の戦い」ではこんなエピソードがあると言われています。
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家来たちはみんな一生懸命に、進軍の道筋と日程を論じている。信玄は一人黙然として考えていた。

家来の一人が、「殿様がいかがお考えか、お伺い申し上げます」というと、信玄は

「お前たちがいいように計らえばよい」

と答えた。

そういう信玄が手元に広げている地図を見ると、赤い線があちこちに引かれている。それを見て家来は訪ねた。

「その道から討って出る思し召しですか」

すると信玄は、頭を振ってこう答えた。

「いや、これは引き揚げる道だ」

それを聞いて大将たちは仰天した。

勇ましい進軍の門出に、退却の道を考えるのはなんたる不吉なことであろうか。

我々は勝って北条氏をほうむる覚悟である。破れて引き揚げようとは思っていない。そこで、大将たちは口々にいった。

「それはご無用のことです。凱旋(がいせん)するときはどの道でも自由に通行できますから、今そのようなご検討をする必要はありません」

信玄は笑った。

「そうかも知れぬ。そうでないかも知れぬ。

お前たちは進むことを考える。

それゆえに私は退くことを考えるのだ。

進むことは容易だが、退くのは難しいものだぞ。

人間というものは、どのように生きようかということよりも、どのように死のうかということを考えなければならぬ。

どのように進もうかということよりも、どのように退こうかということを考えるほうが大事なのだ」
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あるいは、プロの登山家も常に下山のことを意識しているという話を聞いたことがあります。

例えば、8000メートル峰14座登頂した竹内洋岳さんは、

「登山のピークは必ずしも頂上ではなく、登頂したといえるのはベースキャンプに帰ったとき。

登ることと下ることを分けて考えていない。

ベースキャンプから1つの輪がスタートしたなら、登って頂上を通過して、ベースキャンプに下りてきたときに、自己完結の輪が閉じる。」

とも言っています。

「下りるために登るんさ。」

というのは、横山秀夫の『クライマーズ・ハイ』の名文句ではありますが、

ビジネスにおいても、ケリのつけ方については、常に頭の片隅で考えておきたいところです。
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【今日のうねり】
ビジネスにおいては、
参入障壁は高いのか?
撤退障壁は低いのか?
という二点を考えることが大事だが、特に重要なのは、後者だ。
始めたのが良いけど、やめられない。無駄なことを続けてしまっているという話はよくあること。
戦名人武田信玄も、どのように進もうかということよりも、どのように退こうかということを考えるほうが大事だと言っている。
だからこそ、常に撤退について考えるのが、一流の経営者なのだ。