「事がうまく運んでいるからじっとしていよう」というワナ。

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令和3年10月28日  今日もクルクル通信1164号
本ブログは、(株)SURGING中田雅之のブログです。
今日もクルクルうねって、胸にぐっとクル気づきを書いていきます。
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『アイディアは交差点から生まれる』

というめっちゃ良い書籍があります。Amazonの本の紹介はこんな感じです。
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「本書の主張は、あらゆる分野のイノベーターを導くクリエイティビティの不朽の原則である」

大流行したカードゲームの発案者、革新的な戦略を提案するコンサルティング会社、恐竜滅亡の隕石衝突説を提唱した天文学者、18歳で潜水艦を自作した発明家――。
古今東西の事例から明らかにする、不朽の原則!

革新を生み出す「交差点」とは何か、いかにそれを作り出すか。これであなたも世界を変えるイノベーターになれる!

私たちもまた、このメディチ・エフェクトを起こすことができる。とてつもないアイデアを次々と生み出し、個人として、チームとして、組織として、その恩恵に浴することができるのだ。そのためには異なる専門分野や文化が相互に出会う場を探さなければならない。本書はそうしたアイデアの交差点をどのように見出すか、またどうやったらその出会いが可能になるかを読者に指南する。 (「はじめに」より)
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イノベーション周りにご興味のある方、現状を打開したいけど、どうしたら良いのか…なんて思っている方には、オススメです。

とは言いながら、こういう良書に限って、絶版になっているんですよね。

定価よりも高くても構わん!という方は、Amazonでお買い求めいただき、「買うのはちょっと…でも読みたい」という方がいらっしゃいましたら、お貸しします。ドッグイヤーの後は沢山ありますが、赤線等は一切ありませんので、状態は良いです。

鮒谷周史さん、いつもながら素晴らしい本のご紹介、有難うございます!

さて、この書籍の中に

「事がうまく運んでいるからじっとしていよう」というワナ

という話が書いてあります。

これは、「イノベーションを起こすために!」なんて高尚なことは言わずとも、前向きに逓増する人生を歩むためには、セボネに刻み込んでおいた方が良いOS、姿勢だと思ったので、今日はこれをダイジェスト的にご紹介します。
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仮に今、あなたが次のような選択を迫られていると想像してみてほしい。

「無条件に3,000ドル払う」のと、「4,000ドル払う確率が80%、何も払わずにすむ確率が20%の賭けをする」のと、どちらを選ぶか。後者の、何も払わずにすむ確率のある賭けを選んだだろうか。大半の人はそちらを選ぶ。
ある実験では回答者の92%が、勝てば何も払わなくてすむが負ければ4,000ドルを払わなければならないという賭けのほうを選ぶと答えた。
計算上、賭けをしたときの予想される損失は3,200ドル(38×4000ドル=3200ドル)で、最初から3,000ドル払った場合より200ドル多くなることを考えると、やや不思議な感じもする。
この結果は、ほとんどの人間はリスクを避けるものだという社会通念が誤りであることを証明している。実際には、この種の状況では大多数の人がリスクを積極的に受け入れる。
では質問の設定を逆にしてみたらどうなるだろうか。
「無条件に3,000ドルをもらう」のと、「4,000ドルをもらう確率が80%、何ももらえない確率が20%の賭けをする」のと、どちらを選ぶか。
おもしろいことに、この場合には結果が逆転し、大半がギャンブルをしないほうを選ぶ。
回答者の80%が確実に現金を手に入れるほうを選択したのだ。
このギャンブルで数学的に予想される利益は3,200ドルなのに、突如としてリスク歓迎からリスク回避へと変わってしまった。こうした逆転をどう説明できるだろう?
この研究を行った二人の心理学者ダニエル・カーネマンとエイモス・トバスキーは、「プロスペクト理論」という考え方を使ってこの結果を説明した。
この理論によれば、私たちは不確実性より失うことのほうを恐れているという。
人生において物事が瞬時に良くなるとはなかなか考えにくいものだが、またたく間に悪化する可能性は容易に考えることができる。
したがって先の例でもわかるように、私たちは確実な(金銭の)損失を避けるためには、ギャンブルすることも厭わない。
何かを失うことのほうが手に入れることより、鮮やかな像を結ぶ。そのほうがイメージしやすいし、痛みとして感じられもする。だから私たちは失うことを恐れるのだ。

私たちが何かを失う可能性に対して非理性的な反応を示すことは、研究室での実験に限らず、日常生活のいたるところで見受けられる。
その最たる例が株式市場だ。株価が高騰すれば、得た利益を確保するために株を売ろうとするのに対し、株価が下落したときには、また上向くのを期待して手放さないという傾向がある。これは素人だけでなく、プロのトレーダーにも当てはまる。
だが、ここには問題がある。失うものがあるときだけ賭けをして、得るものがあるときにはリスクを冒さないのであれば、長期的には損をするということだ。
私の友人にマーティンという老練なポーカープレイヤーがいる。彼は(たいがい)ゲームに勝つ。その秘訣を訊くと、こう説明してくれた。
「ほかのプレイヤーの手を読むとか、ハッタリかどうかを見分けるなんてことはあんまり関係ないんだ。わかればそれに越したことはないけど、それで勝てるわけじゃない。
秘訣はとにかく、原則に忠実であること。いい手が来たら大きく賭けて、手が悪いときには小さく賭ける。そのことを肝に銘じるんだ。勝つときには大きく勝って、負けるときには少なく負ける。これが鉄則だよ」。
ついていないときに危険な賭けに出て、うまくいっているときには早々に儲けを確定してしまう例を、マーティンはいやというほど見てきた。
だがそういう人たちは、最終的には損をするのだという。
このことは、うまくいっているときには自分が今いる分野にとどまって、あえて交差点へ向かおうとしない私たちの行動の傾向を説明してもくれる。
ほとんどの人は、今手にしているものを失うリスクを冒すより、安楽な道を選ぼうとする。歩みは小さくても着実に一歩一歩前進し、予測できる収穫を確実に刈り取るほうが心安らかでいられるし、そのほうが賢明である場合も多い。
専門分野で業績をあげた研究者なら、その分野を徐々に発展させることで地位を維持できる。ある市場や製品でトップを行く企業なら、できるだけ長くその市場にとどまろうとする。
早い話、確実だと思った利益を逃せば自分が馬鹿に思えてしまうのだ。要するに、リスクを負えば今の地位や安心できる状況を危険にさらすことになる。
だから、交差点的アイディアを試すのはやめておこう、となるわけである。

ところが事がうまくいっていないときには、私たちの行動は一転して正反対になる。
うまくいっていないときほど、大きな賭けをしたり新しいことをやってみようという気持ちになってしまう。
たとえば企業が窮地に陥って、過激ともいえる企画に打って出たり、一か八かの大博打を打つ。レイオフされるのではないかとの不安から、新しいアイデアを試すチャンスに賭けようとする人もいる。
研究資金が枯渇している分野の科学者もしかり。彼らはほかに選択の余地がなくて新しい分野に入っていく――そして時には、それが目覚ましい交差的発見につながる。
だが問題は、もし私たちが物事がうまくいかないときにしか交差点でリスクを冒そうとしないなら、成功のチャンスは総じてきわめて少なくなるということだ。
うまくいっていないときには、えてしてリソースも、コネも、信用も、時間も不足している。
いいかえればそれは、失敗を乗り越えて事をなし遂げる確率がもっとも低い時期だ。
それより物事がうまくいっているときにこそイノベーションに挑戦し、思い切った勝負をしたほうがいいではないか。
交差的アイデアの実現には失敗を克服するプロセスが不可欠だが、好調な時期はそれができる確率がもっとも高いときなのだ。

『アイディアは交差点から生まれる』より抜粋。太字は私(中田)によるもの。
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ダイジェストって書いていたのですが、原文がめちゃまとまっているので、結局、抜粋をしてしまいました。ご容赦ください。

人は、不確実性より失うことのほうを恐れる生き物ですから、物事がうまく行っている時ほど、リスクを冒したくないものです。

しかし、「三日天下」という言葉もありますし、物事が長期間うまく行き続けることもないのかもしれません。

ましてやこのVUCAな時代ですから、「長くは続かないもの」という前提に立ったの方が、むしろ良いようにも思います。

日本電産の永守重信社長も、

以前は「築城3年、落城3日」だったのが、  最近は「築城3年、落城3時間」になった。

と言っていたらしいですしね。

だとすれば、

良い時こそ、許容可能な損失が大きいのだから、むしろ攻める。攻めダルマになる、と心得る。

でも、それは本能に抗うことだから、難しい。難しいからこそ、こうやって言葉で、書き表わし、自分を自分で躾け、抗う体質をに手に入れようと努めるのです。
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【今日のうねり】
人間は、不確実性よりも明らかな損失を嫌うものだ。
だから、良い時は、攻めた方が良いにもかかわらず、攻めない。守る。逆に状況が悪くなった時にリスクを背負いたくなるものだ。
でも、これでは負ける可能性の方が圧倒的に高いのだ。長期では勝てない。
長期逓増する人生を歩むためにも、良い時にこそ攻める体質を手に入れるのだ。そのために書くのだ。